近年、温暖化問題や世界的なCO2削減競争が追い風となり注目を集める電動バイク。
東京都では2035年までに「純粋なガソリンバイクの新車販売」を禁止する方針を掲げています。(参照:ゼロエミッション東京戦略2020)
そのため、特に東京都心部では将来的に電動バイクが主流になっていくでしょう。
電動バイクは満員電車を回避できる便利な乗り物でもあります。
とはいえ、バイクに乗ったことない方が初めて電動バイクを選ぶ際、種類も多く迷う点はあると思います。
今回の記事では、電動バイクの選び方、国内・海外メーカーから出ている最新の電動バイクについて紹介します!
電動バイクの選び方5選
それではまず、電動バイクの選び方について解説致します。
所有免許をまず確認しましょう
まず、免許によって乗れるバイクが異なる点に注意が必要です。
本来、バイクは排気量(cc)ごとに運転免許が分かれていますが、電動バイクの場合は「定格出力」により区分されます。
MT、ATの区分もありますが、電動バイクの大半はAT免許で運転可能ですので除外します。
なお、電動バイクには最高出力という表記もありますが、この数値は免許の区分に無関係ですので、ネットやフリマアプリ等で乗る際は、必ず事前に確認してください。
大半の方が普通自動車免許か原付免許に該当すると思いますが、運転できるのは排気量50cc以下のバイクです。電動バイクの場合、定格出力0.6kW以下になります。
一般的に「原付」と言われるモデルになり、制限速度は30kmになります。
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普通自動車免許で乗れる電動バイク、乗れない電動バイクの違いを解説
結論から言えば、普通自動車運転免許を持っていれば、定格出力600W未満の電動バイクを運転することができます。
でも、定格出力と言われてもちょっと分かりづらいですよね。
今回は普通自動車免許で乗ることができる電動バイクについてわかりやすく解説していきます。続きを見る
普通自動二輪免許(小型限定)
ここからは、自動車免許とは別に免許を取らなければ運転できません。
「小型二輪」「原付二種」とも呼ばれ、運転できるのは排気量125cc以下のバイクが該当します。電動バイクの場合、定格出力1.0kW以下になります。
自動車専用道路や高速道路は乗れませんが、一般道では自動車と同じ制限速度で走ることができます。
バイパスや高規格の国道など、スピードが出やすい道でも流れに乗ることができます。
普通自動二輪免許
昔は「中型二輪」とも言われ、年配の方は中免と言ったりもします。
運転できるのは排気量400cc以下のバイクです。電動バイクの場合、定格出力20kW以下になります。
ここからは、ごくわずかに残存する二輪禁止の道路以外は自動車と同様に走行できます。通勤や通学に高速道路や自動車専用道路を使う場合は、最低でもこのサイズのバイクが必要です。
大型自動二輪免許
ハーレー等の「リッターバイク」等は大型二輪です。401cc以上のバイクが該当します。
電動バイクの場合、20kW以上です。
通勤・通学以外にも、休日の長距離ツーリングでの利用もメインに考えたい方や、大型二輪のカッコよさに惚れた方にとっては一つの選択肢になるでしょう。
以上が電動バイクの免許ごとの区分になります。
ガソリンがモーターに変わっただけですので、免許については電動バイクも従来型バイクとほとんど差異はありません。
利用用途の航続距離
航続距離も要確認です。
電動バイクにとって、バッテリー切れ(電欠)は死活問題。少なくとも、目的地までの往復分の距離は走行できなければ通勤・通学では使えません。
航続距離は、バイクごとに後述しますが、「〇kgの人が×kmの一定速度で走行した場合」を元に算出されています。
・運転者の体重
・スピード
・信号による発進、停止の回数
この3点により航続距離は変動します。
近年の自動車・バイクの燃費や航続距離は、比較的誤差は少なく算出されていますが、自動車と比べて車重が遥かに軽いバイクでは、運転者の体重が航続距離に少なからず影響します。
最低でも、Googleマップなどで計測した往復距離×1.2倍程度の航続距離はあった方が安心です。
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【長距離も安心】航続距離の長い電動バイクまとめ【原付編】
電動バイクのデメリットとして、「航続距離が短い」がよく挙げられます。確かに航続距離が短いと用途が制限されたり、充電の手間が増えたりと大変ですよね。そこで今回は、原付1種と原付2種に絞って、航続距離が長い電動バイクをまとめました。長距離使える電動バイクが気になる方は、最後まで読むことで自分にマッチしたものが見つかるかもしれません。さっそく見て行きましょう!
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最高速度
最高速度は、通勤・通学利用が中心なら、あまり気にしなくても良いです。
特に朝の道路はラッシュで混み合いますから、そこまでスピードは出ません。
原付の30km制限は厳しいですが、最高速度は40km以上出せるバイクも多いです。
※警察に見つかったら確実に罰金と減点を食らいますので自己責任
道路によりますが、朝のラッシュ時は幹線道路ですら40~50km前後しか出せないこともあります。
ただ、休日のツーリング等、他の用途にも使う場合は最高速度60km以上のスピードを出せるバイクの方が、余裕を持って運転できるでしょう。小型二輪クラス以上のバイクが必要になります。
充電時間
バッテリーの充電時間も、最高速度と同様あまり気にしなくて良いです。
ただし、毎晩必ず充電するようにしてください。
機種によって差が出ますが、長くても8時間程度あれば満タンまで充電できます。バッテリーは着脱式になっている機種も増えていますので、専用の充電器を使えば部屋のコンセントから給電できます。
メーカー
メーカーごとに特徴はありますが、電動バイクは新興メーカーが多いため機種ごとの違いがハッキリしています。
メーカーで選ぶというより、自分の用途に合ったバイクやデザインで気に入ったバイクを素直に選んでいけば良いです。
2021年版電動バイク 国内メーカー編
ここからは、具体的なメーカーとバイクを紹介していきます。機種名の横にかっこ書きがないものは、原付扱いです。
航続距離などのスペックは、機種ごとに記載します。
YAMAHA E-Vino
・航続距離:29km (体重55kgの方が30km/hの定地走行を行う場合)
・最高速度:45~50km/h前後? (公式サイトには記載なし)
・充電時間:約3時間 (気温15~25度が最適)
・本体価格:259,600円 (税込)
まずはバイクや楽器でもお馴染みのYAMAHAから。
大きな特徴は、「見た目は可愛らしい従来型の原付バイク」であるということです。
よくあるコンビニフックやフロントポケット、シート下の収納も確保されています。
メーター周りは液晶画面になっており、「標準モード」と「パワーモード」への切り替えの他、坂道を上りたい際にブースト機能も搭載されています。
バッテリーの充電時間も3時間と比較的短めで、気軽に使えます。
何より、長年バイクを製造してきたメーカーならではの販売網や安心感は、他のメーカーにはない魅力です。
アクセス Sneak77
・航続距離:50km (体重60kgの方が30km/hの定地走行を行う場合)
・最高速度:42km/h
・充電時間:約4~6時間
・本体価格:201,600円
従来型バイクの外見は残しつつ、スポーティーなデザインに仕上がっている電動バイクです。
それでいて、原付お馴染みのコンビニフックやフラットなフットスペースを確保。
普段使いでも遊びでも楽しい電動バイクです。
青、赤、グレーの3色があります。
なお、Sneak77には原付モデルと原付二種(小型二輪)モデルがありますが、原付二種モデルでも最高速度は45km/hに留まる点を考えれば、原付モデルを選ぶ方がよいでしょう。
いくら制限速度が30km/hでなくなるとしても、スピードの出ない原付二種を持つ意味はほとんどありません。
BLAZE SMART EV
・航続距離:30km (測定基準は不明)
・最高速度:30km/h
・充電時間:約3.5時間
・本体価格:182,600円
こちらは、従来の原付バイクとは一線を画す、折り畳み式電動バイクです。
何と車両重量はたったの18kg!従来の原付バイクと比べると1/4の重さです。
これでいて30km/hのスピードと30kmの航続距離を確保しています。
公式サイトでは車に載せるシーンもありますが、短距離通勤なら単体でも十分使えます。
バッテリーのサイズも小さく、充電にも困りません。カラーバリエーションが6色あるのも魅力です。
2021年版電動バイク 海外メーカー編
ここからは海外メーカーの電動バイクをご紹介します。
なお、①と②は国内販売をXEAM(ジーム)が担当します。
SUPER SOCO CUX
・航続距離:65~70km (体重75kgの方が45km/hの定地走行を行う場合)
・最高速度:65km/h
・充電時間:約8時間
・本体価格:249,800円
(参照、画像引用:XEAM公式サイト)
国内で購入可能な原付の電動バイクの中では、2021年5月現在で最も最高速度が速いです。
従来の原付バイクの最高速度が55~60km/hですので、全く遜色ありません。
また、航続距離も長いです。
SUPER SOCO TSX(AT小型二輪免許)
・航続距離:55~60km (体重75kgの方が45km/hの定地走行を行う場合)
・最高速度:75km/h以上
・充電時間:約8時間
・本体価格:299,800円(1バッテリーモデル)
(参照、画像引用:XEAM公式サイト)
スポーツタイプのバイクを連想させるようなデザイン。
AT小型二輪免許が必要ですがその分スピードも速くなり、また2バッテリーモデル(399,800円)もありますので、航続距離は最大で120kmまで伸ばすことができます。
なお、小型二輪は原付と異なり、制限速度は自動車と同様、また原付特有の二段階右折もありません。免許取得費用は8~10万円ほどかかりますが、原付にはないメリットを得られます。
カッコよさ、スピード、航続距離の長さで、遠距離通勤やツーリングまで活躍できるバランスの良いバイクです。
SUPER SOCO TC(AT小型二輪免許)
・航続距離:55~60km (体重75kgの方が45km/hの定地走行を行う場合)
・最高速度:75km/h以上
・充電時間:約8時間
・本体価格:299,800円(1バッテリーモデル)
(参照、画像引用:XEAM公式サイト)
前述のTSXとほぼ同等の性能ですので、詳細は省きます。
電動バイクとしての先進性と、古き良きバイクとしての雰囲気を兼ね備えた、落ち着きのあるデザインが特徴になっています。
Niu(ニウ) UQi Pro
・航続距離:70km (体重70kgの方が20km/hの定地走行を行う場合)
・最高速度:41km/h
・充電時間:約5~6時間
・本体価格:206,800円
(参照、画像引用:XEAM公式サイト)
走行性能は平均的な電動バイクですが、「回生ブレーキ」「クルーズコントロール」「アプリによるバイク管理」という特徴があります。
いずれもバイクには珍しい機能です。
回生ブレーキとは、減速時にモーターが発電する仕組みです。ハイブリッドカーや新幹線等でも採用されおり、航続距離が伸びます。
クルーズコントロールで一定速度を維持することも可能です。
アプリによるバイク管理機能もあり、盗難の抑止やバッテリーの残量管理など、様々な情報を確認できます。
このような便利機能を試してみたい方にはオススメです!
Niu(ニウ) MQi+ Sport 2020モデル(AT小型二輪免許)
・航続距離:120km (体重70kgの方が20km/hの定地走行を行う場合)
・最高速度:45km/h
・充電時間:約8~9時間
・本体価格:283,800円
(参照、画像引用:XEAM公式サイト)
前述のUQi Proの小型二輪(原付二種)バージョンです。
航続距離以外に大きな差はありません。
小型二輪の電動バイクの中では安価です。
Niu(ニウ) NQi GT(AT小型二輪免許)2020モデル
・航続距離:134km (体重70kgの方が25km/hの定地走行を行う場合)
・最高速度:70km/h
・充電時間:約7~10時間
・本体価格:437,800円(2バッテリー装備)
(参照、画像引用:XEAM公式サイト)
小型二輪として申し分ない走行性能、十分な航続距離を兼ね備えつつ、一般的なスクーターと同様のデザインで通勤・通学にも扱いやすい電動バイクです。
アプリ管理や回生ブレーキ機能も搭載しており、利便性と走行性能のバランスもバッチリです。
COSWHEEL(コスウエル) COSWHEEL SMART EV ※2021年6月以降納品
・航続距離:35~50km (測定基準は不明)
・最高速度:45km/h
・充電時間:約6時間
・本体価格:229,900円
(参照、画像引用:COSWHEEL EV SCOOTER(公式))
ご紹介する電動バイクの中で、唯一ペダルがついています。
原付の正式名称が「原動機付自転車」である通り、昔は普通の自転車に動力を取り付けたものが当たり前でした。
まさしく元祖原付を現代によみがえらせたような電動バイクです。
車両重量も35kgとそこまで重くないので、バッテリー切れの際は普通の自転車として走れます。
デザインもカッコよく、バイク用の太めのタイヤを装着しているのでモーターで比較的高速で走る際も安心です。
BMW Cエボリューション(AT普通二輪免許)
・航続距離:160km (定地走行時)
・最高速度:129km/h
・充電時間:約4時間半
・本体価格:1,590,000円
(参照、画像引用:BMW公式サイト)
ここからはAT普通二輪免許が必要なので免許取得のハードルが上がりますが、その分最高速度も上がり高速道路に乗れるようになります。
最高速度だけではなく加速性能も高く、0-50km/hまで2.8秒、0-100km/hまで6.2秒。
高速道路でも周りの車の流れに負けません。
充電時間もかなり短めでデザインもカッコ良いので、「このバイクに乗るために免許を取る」という気持ちにもなれそうな電動バイクです。
ハーレーダビッドソン ライブワイヤー(AT大型二輪免許)
・航続距離:235km (市街地走行、詳細条件不明)
・最高速度:175~177km/h (公式HPには情報なし)
・充電時間:約12時間半
・本体価格:3,493,600円
(参照、画像引用:ハーレー公式サイト)
電動バイクとして最高時速を記録したバイクです。0-100km/hの加速は3秒。
デザインもスポーティーで、高速道路でも余裕のツーリングが可能です。
免許は大型二輪が必要で本体価格も高価ですが、他の電動バイクを圧倒する性能が手に入ります。
まとめ
ここまで様々な電動バイクを紹介しました。
原付~大型二輪まで紹介しましたが、いきなり大型から乗るのもありですし、原付からステップアップしていくのもありです。
バイクの販売台数は最盛期の10分の1程度と激減していますが、道路が狭い日本では実はメリットの多いバイク。
これを機会に電動バイクデビューをして、時代の最先端を味わってみませんか?